デビュー作にして直木賞候補作『盤上の夜』宮内悠介(著)
最近、小説を読んでますか?今回取り上げる本は、囲碁・将棋・古代チェス・チェッカー、そして麻雀が登場する短編集『盤上の夜 (創元日本SF叢書)』。
第147回 直木賞候補作にもなり、第1回創元SF短編賞 山田正紀賞も受賞した評価の高い作品です。
← いつも応援ありがとうございます。麻雀ランキング参加中です。
作品紹介・目次
彼女は四肢を失い、囲碁盤を感覚器とするようになった──若き女流棋士の栄光をつづり、第1回創元SF短編賞で山田正紀賞を贈られた表題作にはじまる全6編。同じジャーナリストを語り手にして紡がれる、盤上遊戯、卓上遊技をめぐる数々の奇蹟の物語。囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋……対局の果てに、人知を超えたものが現出する。2010年代を牽引する新しい波。
1.「盤上の夜」(囲碁)
2.「人間の王」(チェッカー)
3.「清められた卓」(麻雀)
4.「象を飛ばした王子」(古代チェス)
5.「千年の虚空」(将棋)
6.「原爆の局」(囲碁)
麻雀がテーマの短編 「清められた卓」
このBlogで取り上げたいのは、やはり麻雀が登場する「清められた卓」。「常識では考えられない打牌」を行うシャーマン(教祖様?)が登場するのですが、読み始めると続きが気になると思いますよ。
さきほど知ったのですが、なんと、「清められた卓」はWebで全ページ無料公開されてました。
▽ 東京創元社のウェブマガジン
http://www.webmysteries.jp/special/html/miyauchi1106.html
冒頭だけじゃなくて、全112ページ無料公開ですよ。いやぁ、出版社さん、ふとっぱらですね。麻雀好きな方は、ぜひ読んでみて下さい。
ちなみに参考文献には『科学する麻雀』『安藤満の麻雀 亜空間でぽん!』などが並んでいますし、著作の宮内さんは、麻雀プロの試験を受けたことがあると、プロフィールにあります。かなり本格的な作品なので、逆に麻雀が分からないと、ちょっと「?」な部分があるかなと。
第2話の「人間の王」(チェッカー)や、第4話の「象を飛ばした王子」(古代チェス)も、設定がユニークで、チェッカー・古代チェスを知らなくても面白かったです。全体的に、哲学的な要素もあって、読後感は、なんとも言えない不思議な感じがします。
この作品は、囲碁・将棋・麻雀のような「卓上ゲーム・盤上の戦い」に興味がない人には向かない作品かもしれませんが、逆に言うと、麻雀などの卓上の戦いが好きな人は、より一層楽しめると思います(^_^)/
読書の秋 2012
なお、 『盤上の夜』が候補作にあがった、第147回直木賞(2012年上半期) の受賞作品は、辻村深月さんの『鍵のない夢を見る』でした。
その、辻村深月さんの『ツナグ (新潮文庫)』は、「死」「後悔」がテーマになっていて、麻雀とは全然関係ないですが、こちらもかなりお勧めですよ 。2012/10 現在、文庫本だけで50万部を突破してる人気作で、映画が絶賛放映中ですね。
自分は、映画も気に入ったので、パンフレットも買ってしまいました(^_^;
… ということで、読書の秋。秋の夜長に、『盤上の夜 (創元日本SF叢書)』を読んでみてはいかがでしょうか?