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第18回. [本章] ~ 麻雀「プロ」の創生、共生、新生 ~⑱(バビィの新・「プロ論」)
[更新日:2024/07/30、公開日:2017/08/01]
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月刊「麻雀界」で連載されていた、バビィの新・「プロ論」。以下、「2017年7月1日発売号」の連載内容を特別に掲載させて頂いています。(太字・色づけ等は当サイトにて付与)
▼▼▼ ここから馬場プロの連載より ▼▼▼
メディアにおける麻雀界への影響
先日、モンドTVの取材で久しぶりに元週刊大衆の編集者・Mさんにお会いしました。
Mさんとは、プロ論の序論でも触れましたが、麻雀新撰組や麻雀名人戦の陰のプロデューサ的役割を果たした人。
麻雀を「打つゲームから読むゲーム」への開拓を進めた仕掛け人の一人であります。
久しぶりといっても、ほぼ30年ぶりの再会。
もうご高齢となられたMさんでしたが、昔と変わらぬ元気なお姿で取材を受けていただきました。
このとき改めて感じたのがMさんの麻雀への思い入れの深さ。
麻雀がお好きだったからこそ、誌面展開の戦略をいろいろ練られたのでしょう。
初めて知ったことなのですが、入社したての段階でMさんは、日本麻雀連盟、日本牌棋院、日本麻雀道連盟、全段審といった主要アマチュア団体の幹部たちと交流を図ったそうです。
これも「戦略」の一環。
そして、この交流が後に「麻雀名人戦」創設へつながったのであります。
そう言えば、ニコ生の麻雀対局配信。
前号でお伝えしたとおり、きっかけは張敏賢さん(RTD代表)の発想であり、拡大したのは山田昌和さん(麻雀スリアロチャンネル代表)なのですが、忘れていけないのはニコ生側の対応です。
当時、担当されていたのがニコ生を運営する(株)ドワンゴのWさん。
Wさんもまた麻雀に対する思い入れの強い方でした。
何しろ思い余って対局番組の実況を務めてしまうほど、麻雀がお好きだったのです。
こういうWさんのような方が窓口におられたからこそ、ニコ生の麻雀番組が強化、急増されたといっても過言ではありません。
活字も映像も、メディア側にどれだけ麻雀への思い入れがあるか、それがキーポイントとなってきたわけです。
そんな「麻雀メディア」の歴史というか流れを踏まえて、とうとう「巨人」が現われました。
サイバーエージェントの藤田晋社長、その人であります。
学生時代から麻雀に没頭し、起業した後も打ち続け、ついに麻雀最強戦2014で優勝して最強位に就いた藤田さん。
最強位を獲得したことで、さらに麻雀への情熱を燃やした藤田さんは、積極的にトッププロたちと交流。
昨年開局したインターネットテレビ「AbemaTV」においては「麻雀」を単独チャンネルに設定したことで世間を驚かせました。
一部上場会社の社長が自ら「麻雀メディア」を創ってしまったのですから、これは麻雀プロ業界とっては革命的な出来事といってもいいでしょう。
いや、プロ側からすれば歴史的な「偉業」かもしれません。
僕も衝撃を受けた一人です。
24時間、麻雀の対局番組が流れる時代が来るなんて、旧プロ論を書いている頃には想像もできませんでした。
AbemaTVの登場で、麻雀プロの認知度はぐっと上がりました。
問題はここからです。
現時点でAbemaTVは麻雀プロをリスペクトしてくださっているので、ファンから支持はされていますが、強烈な「ライバル」の存在があることを忘れてはいけない。
それはネット雀士を中心としたアマチュアプレイヤーたちです。
麻雀プロのようにリアルな麻雀対局への出場が少ないにもかかわらず、彼らの出す戦術書の売り上げが良好なのです。
出版社によっては、麻雀プロを避け、わざわざアマチュア雀士に執筆を依頼するところも出てきました。
これは非常におかしな現象といえます。
少なくとも他の業界では考えられない異常な事態。
麻雀プロの認知度は数年前よりはるかに上がっているのに、戦術書はアマチュア雀士のほうが重宝されているのです。
原因のひとつに、アマチュア雀士の方のほうがデータの収集や解析を含め、麻雀に対して真摯に向き合っているから、という意見もお聞きしました。でも、それも何か首を傾げざるを得ない話。
どうして、こんな状況になったのか。
僕に見えてきたのは「麻雀ファン層の分割」です。
昔から、麻雀ファン層にはそれなりの違いはあったのですが、SNSの時代を迎えて、その「違い」がはっきり明確化されたような気がしてならないのです。
(つづく)
▲▲▲ ここまで馬場プロの連載より ▲▲▲
▼ 上記は、月刊「麻雀界」2017年7月1日発売号に掲載された内容です。
本号には 『新鋭プロVSバビィ座談会』 後編も掲載。鶴海ひかる(RMU)・岩瀬航(麻将連合)・松本吉弘(協会)、神尾亮(最高位戦) + 馬場裕一、秋義紀(竹書房) の6人が、現状の麻雀界とプロ像について熱く語り合っています。(※敬称略)