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第6回. [序章] ~ 麻雀「プロ」の創生、共生、新生 ~➅(バビィの新・「プロ論」)
▼ 2023年1月に、写真やイラスト満載の『馬場裕一の見た夢』が発売されています!
[更新日:2024/07/30、公開日:2016/08/01]
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月刊「麻雀界」で連載されていた、バビィの新・「プロ論」。以下、「2016年7月1日発売号」の連載内容を特別に掲載させて頂いています。(太字・色づけ等は当サイトにて付与)
▼▼▼ ここから馬場プロの連載より ▼▼▼
本邦初の「麻雀タレント集団」
麻雀名人戦終了後に結成された「麻雀新撰組」。
阿佐田哲也氏を近藤勇、小島武夫氏を土方歳三、古川凱章氏を沖田総司になぞらえた本邦初の「麻雀タレント集団」は、多くのファンから熱い歓迎を受けました。
お三方の魅力溢れるパーソナリティーに加え、新聞、雑誌、テレビ等のメディアで縦横無尽に活躍したことが圧倒的な人気につながったと思われます。
麻雀新撰組の登場は、折からの麻雀ブームに拍車をかけただけではなく、「麻雀メディア」というジャンルをも確立させました。
代表的なのが「近代麻雀」「プロ麻雀」の創刊です。
定期刊行物(月刊誌ないし季刊誌)の麻雀専門誌が誕生したのであります。
世は麻雀ブームの真っ只中。
麻雀はサラリーマンの必須科目となり、脱サラして麻雀荘を経営する人々があちこちに出現。
学生の間でもブームは加速を極め、どこの麻雀荘も連日「満卓御礼」。
これらの状況を見て、竹書房の野口恭一郎社長(当時)は「麻雀専門誌は売れる」と判断、近代麻雀の発刊に踏み切ったのです。
しかし予想に反して麻雀専門誌の船出は厳しかった。
娯楽記事やコラム、あるいは小説、テレビ対局といったエンターティメント性の高い企画には食いつく麻雀ファンも、内容が真面目というか堅い専門誌に関しては「ちょっと……」と敬遠。
ブームとはいえ、麻雀は「打つ」ものであって「読む」ものではないという風潮がねまだ根強く残っていたからかもしれません。
赤字続きの近代麻雀は、編集長を替え、印刷や紙ソフト費を削り、何とか存続を図ろうと奔走します。
専門誌が本を売るために考えた!?
ファンの興味を惹きつけるであろう企画をいくつも捻出しました。
そのひとつが「近代麻雀認定プロ」です。
麻雀専門誌が認定する「麻雀プロ」。おそらく他の競技(囲碁、将棋、スポーツ、etc…)と比較し、専門誌には「プロ」の存在が必要不可欠だという認識に至ったのでしょう。
第一期は田中健二郎氏、田村光昭氏、三輪洋平氏、青柳賢治氏らがプロ認定されました。
近代麻雀誌上でお披露目対局が行なわれたことは、当時中学生だった僕の記憶にも残っています。
(※注 田村光昭氏、三輪洋平氏、青柳賢治氏の三名は、麻雀新撰組の後期メンバー。)
麻雀メディアが「麻雀プロ」を創った最初の事例です。
ちなみに小島武夫氏と古川凱章氏は「麻雀プロ」ではなく、なぜか「麻雀評論家」という肩書きであったことも憶えています。
さて、「プロ」を創り出した近代麻雀は、次に麻雀名人戦の成功に倣い、独自のタイトル戦の創設に着手します。
それが「かきぬま王位戦」。
今にして思えば「かきぬま王位戦」は実に斬新かつ画期的なタイトル戦でした。
①麻雀用具メーカーの「かきぬま」さんという企業をスポンサーにしたこと。
②システムをB級→A級という勝ち上がり形式のピラミッド型にしたこと。
③さらに第二期からはC級も設け、ここに一般読者が参加できるようになったこと。
麻雀専門誌ならでは、というより、専門誌にしかできないオールカマーのタイトル戦が設立されたのです。
とりわけ注目すべきは、③の一般読者にタイトル戦への門戸を開いたことでしょう。
画期的なイベントの誕生
麻雀新撰組を始めとする憧れの「麻雀タレント」たちと真剣勝負ができる。
しかも名誉(王位)と賞金を賭けて。
当時の麻雀愛好家にとって、こんなに素敵で燃える麻雀イベントは他にありません。
C級戦出場の権利を得るための「近代麻雀月例会」は、徐々に参加者が増え始め、最盛期はどの会場も定員オーバーという事態に。
同時に近代麻雀の部数も右肩上がりになっていったのでした。
その最も大きな要因として挙げられるのが、第二期かきぬま王位戦の決勝メンバーの顔ぶれです。
厳しいA級戦を勝ち抜いて決勝戦に進出したのが、阿佐田哲也氏、小島武夫氏、古川凱章氏、田村光昭氏という、なんと全員麻雀新撰組の面々。迎え撃つは第一期王位の青木博氏(全段審)。
名勝負が繰り広げられた結果、優勝したのは青木博氏。連覇という偉業が達成されました。
この死闘に麻雀ファンは酔い、胸を熱く焦がしたのであります。
そして麻雀メディア関係者は、企画自体のクオリティもさることながら、対局者に魅力やドラマ性がなければ「商品」にならないことを痛感させられたのでした。
なお、かきぬま王位戦は後に日本プロ麻雀連盟が主催を務め、「王位戦」と名称を変更して今年で42期目を迎えます。
(つづく)
▲▲▲ ここまで馬場プロの連載より ▲▲▲
▼ 上記は、月刊「麻雀界」2016年7月1日発売号に掲載された内容です。