当サイトのリンクは「広告を含む」ものがあります。
第21回. [本章 第1章最終回] ~ 麻雀「プロ」の創生、共生、新生 ~㉑(バビィの新・「プロ論」)
▼ 2023年1月に、写真やイラスト満載の『馬場裕一の見た夢』が発売されています!
[更新日:2024/07/30、公開日:2017/11/01]
バビィの新・「プロ論」目次 へ <<
月刊「麻雀界」で連載されていた、バビィの新・「プロ論」。以下、「2017年10月1日発売号」の連載内容を特別に掲載させて頂いています。(太字・色づけ等は当サイトにて付与)
▼▼▼ ここから馬場プロの連載より ▼▼▼
プロ麻雀界の統一と統率者問題
AbemaTV さんを始めとする映像コンテンツの充実。
アーケード、ネットetc. オンライン麻雀の隆盛。
Twitter、Facebook、Instagram 等々 SNSの流行。ネット社会の強い影響力を背景に、プロ麻雀界は大きく様変わりしました。
一番のポイントは将棋の「見る将」よろしく「見る雀」に比重がかかったことだと思われます。
数字だけでなく打ち筋やキャラクターも評価される。
即ち「セルフプロデュース」も可能な時代が訪れたのです。
麻雀プロ、特に新進のプロたちにとっては喜ばしい状況を迎えたといえるでしょう。
しかし、それは同時にプロ麻雀界関係者が見て見ぬふりをしてきた「弱点」を露呈させることにもつながりました。その「弱点」に対し、プロ麻雀界を応援してくださる皆様から、様々な提言が寄せられました。
「トップダウンで決断を下すリーダーの出現を心より願っている」(サイバーエージェント・藤田晋社長)
「タイトル戦のシステムの改革やプロ団体共通のランキングの構築を望む」(麻雀王国・河下太郎社長)
「スポンサーに対してメリットを提示して、理解と共感は得てほしい」(セガ・T畑統括ディレクター)
この御三方の提言に対する回答は唯一つです。それは麻雀プロ団体を統括する組織の確立と、その責任者であるコミッショナーの選出しかありません。プロ野球ではセ・リーグ、パ・リーグを統括する日本野球機構(NPB)みたいなものですね。
「コミッショナーの選出」は、藤田氏提言の「トップダウンで決断を下すリーダーの出現」に合致いたしますし、「統括組織の確立」は河下氏提言の「タイトル戦のシステムの改革やプロ団体共通のランキングの構築」に応えられる形になります。
さらに統括組織ができれば、T畑氏提言の「スポンサーへのメリットの提示」は必須課題になることは間違いないでしょう。
では具体的に、どういう手順で統括組織の確立を目指すのか。
まず大事な前提として、現役のプレイヤーは執行部(幹部)に入れない、これは厳守しなければなりません。
麻雀プロが誕生して四十年(麻雀プロ団体は三十六年)、この業界が分裂と衰退を繰り返し、「弱点」を放置してきた原因は、いろいろ考えられますが、僕の目からはプレイヤーが事務方を兼ねてしまったことが最大の失敗に映るのです。
※ここら辺に関しては、六年前に著述した旧「プロ論」を参照していただけると幸いです。
プロスポーツの世界になぞらえれば、いわゆる「フロント」陣は現役プレイヤー以外の方々で構成されなければいけません。
できれば社会的地位があり、事務的能力が高く、かつ麻雀や麻雀プロ、麻雀ファンを大切にしてくれる方々… 少し高望みし過ぎましたかね。
ハッキリしているのは、現役の麻雀プロが実権を握ってはいけないことです。麻雀プロはプレイヤーとして対局に専念し、素晴らしい闘いを見せて、ファンを増やす。フロント陣は麻雀プロの生活と麻雀ファンの拡大のために事務方に従事する。
餅は餅屋、という言葉があります。
プロは自分の専門分野で、そのプロフェッショナル度を発揮すればいいだけなのです。
僕からすれば、前出の藤田氏や河下氏、T畑氏、そういった皆様がプロ麻雀界の統一機構に参画していただけると有難いなあという気持ちがありますが、現状ではそうとう厳しいでしょう。
プロ麻雀界の未来を見据え、統一機構の確立を目指そうとするなら、鍵を握るのは各プロ団体に所属する20代、30代の若手選手たちだ、と僕は思っています。
彼らが今、何らかの行動を起こさなければ、統一機構など夢のまた夢です。
べつに、彼らに謀反を促しているわけではありませんよ。彼らが所属団体の壁を超えて連携し、討論を重ねる機会ができれば、きっと何かが動くと僕は期待しているのです。
名選手であり、名監督であり、名解説者の野村克也氏は、こうおっしゃっています。
―― アマは「自分が喜ぶ」。プロは「人が喜ぶ」。
プロとアマの違いを、これほど端的に表した言葉を僕は他に知りません。
どうか、未来のプロ麻雀界を担う若手選手たちに、この言葉が届きますように…。
(本章第1章完、第2章へつづく)
▲▲▲ ここまで馬場プロの連載より ▲▲▲
▼ 上記は、月刊「麻雀界」2017年10月1日発売号に掲載された内容です。