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第26回. [本章] 麻雀メディア編 ➄
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[更新日:2024/07/30、公開日:2018/04/01]
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月刊「麻雀界」で連載されていた、バビィの新・「プロ論」。以下、「2018年3月1日発売号」の連載内容を特別に掲載させて頂いています。(太字・色づけ等は当サイトにて付与)
▼▼▼ ここから馬場プロの連載より ▼▼▼
映像時代だからこそ生じる問題
ニコニコ生放送がきっかけで幕を開けた麻雀メディア新時代(麻雀映像メディア時代)。その歴史を簡単に振り返っておきましょう。スタートは2009年に開催された第20回麻雀最強戦でした。番組のメインは「最強戦」というイベントのリポートだったのですが、決勝戦(半荘一回)のみを生配信。
ニコ生で初めて麻雀対局の番組が企画されたのは翌年、2010年に行なわれた「第五期最高位戦Classic特別公開対局」です。
ネットで麻雀プロの対局が長時間生配信されることは今までになかったので、大きな反響を呼びました。これを受けて翌年2011年、「第五期夕刊フジ杯・個人戦決勝」がニコ生で生配信。こちらもまた多くの来場者が訪れ、麻雀は配信コンテンツとして優良である、という認識が関係者の間で高まってきたのです。そして満を持して(?)始まったのが、翌年2012年の「麻雀最強戦」であります。何と一年という時間をかけて、予選からファイナルまで全ての対局を生配信するという大型プロジェクトが始動しました。
予選のひとつである「著名人代表決定戦」では、来場者数が28万人を超え、関係者を驚かせたことは、まだ記憶に新しいかもしれません。この後AbemaTVが登場するまで、麻雀プロの映像対局は、MONDO TV以外ではほとんどニコ生で流れる状況になったのです。
ただ、対局配信の数が増えれば増えるほど、運営側が頭を悩ます事案が発生してきました。それは番組制作費をはじめとする経費の捻出方法、早い話が「お金」の問題。
僕自身、2011年の「第五期夕刊フジ杯」の生配信に関わった立場なのですが、やはりそれなりに制作費はかかりました。でも、当時は頭を悩ませるどころか、気にもなりませんでした。
おそらくニコ生の配信は宣伝手段でありファンサービスでもあるという意識が強かったからでしょう。
たった一回の配信だし、そういうことにお金がかかるのは当たり前という思いもありました。しかし、毎月、毎週、あるいはほぼ毎日、麻雀対局の生配信していく側は、そういうわけにはいきません。では、彼らはどうやってこの事案に立ち向かったか。結論から申し上げると「課金システム」の導入です。
スリアロチャンネル、連盟チャンネル、最強戦チャンネル etc. 麻雀番組を制作しているチャンネルの多くが、ユーザーの皆さんから課金していただくことで番組の存続を図ったわけです。
さて、ここでクイズをひとつ。
ニコ生の麻雀番組(麻雀チャンネル)で、初めて課金システムを導入したのは、いったいどこでしょう?
・・・すぐお分かりになった方は、そうとうなマニアかよほどの事情通かも。
答は「梶やんチャンネル」。
MONDO TV「麻雀プロリーグ」の解説者としておなじみ、梶本琢程さんがパーソナリティを務める麻雀チャンネルが「課金システム」第一号だったのです。梶本さんにお話をうかがってまいりました。
――「梶やんチャンネル」を課金システムにしようとしたきっかけは何だったのでしょう。
梶本:実は2008年ごろから個人的にニコ生でコミュニティ配信をしていました。天鳳などのネット麻雀の実戦を生配信したり、実戦動画のアップロードをしたりして、自分の告知や宣伝にニコ生を活用していたのです。当時の(コミュニティの)登録人数は五千人ぐらいだったかなあ。すると4年後の2012年、ニコ生に「チャンネル」というシステムが誕生しました。
動画や生配信、メルマガの配信が可能となり、有料にもできるという新たなシステムです。
その情報を入手した竹書房のニコ生担当者から、「梶やんチャンネル」として開設してみませんか、という提案がありまして、どこもやっていないし、新しいことにチャレンジするのが好きなので、お受けしたわけです。
――ということは、最初から課金ありきのチャンネル開設だったんですね。
梶本:そうです。ただ、いきなり課金しても入会してくれる人はいないので(笑)初めの何ヶ月かは無料で配信していました。まずは「梶やんチャンネル」の認知度を上げなければいけませんから。
――課金システムの参考というか、お手本になるようなニコ生番組は他にありましたか?
梶本:何しろ新システムでしたからね。そういう番組はありませんでした。生配信の一部には、その日一日だけのイベントの有料放送はありましたけど。
――無料配信から一転、課金システム導入を発表したとき、ユーザーや麻雀業界の反応はどうだったのでしょう。
梶本:麻雀業界からも特になかったですねえ。まあ、匿名掲示板や、無料配信時のコメントでは「金の亡者」的なことを言われましたけど(苦笑)。
(つづく)
▲▲▲ ここまで馬場プロの連載より ▲▲▲
▼ 上記は、月刊「麻雀界」2018年3月1日発売号に掲載された内容です。