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第27回. [本章] 麻雀メディア編 ➅
[更新日:2024/07/30、公開日:2018/05/01]
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月刊「麻雀界」で連載されていた、バビィの新・「プロ論」。以下、「2018年4月1日発売号」の連載内容を特別に掲載させて頂いています。(太字・色づけ等は当サイトにて付与)
▼▼▼ ここから馬場プロの連載より ▼▼▼
有料チャンネルの登場
麻雀メディア新時代(麻雀映像メディア時代)の口火を切ったニコニコ生放送。
当初(2009年~2011年)は無料配信が当たり前でした。
というより麻雀の対局を「有料」で見せるという発想すらなかったような気がします。関係者の間では「ニコ生配信は宣伝手段であり麻雀ファンへのサービスでもある」ということが半ば常識化されていたからでしょう。
転機が訪れたのは2012年。
ニコ生に「チャンネル」というシステムが誕生しました。動画や生映像、メルマガの配信が可能となり、有料にもできるという新システム。この情報を入手した竹書房のニコ生担当者が、ある人物に打診します。
「麻雀の有料チャンネルを開設してみませんか?」
その人物とはMONDO TV「麻雀プロリーグ」の解説者としておなじみの梶本琢程さん。
当時、梶本さんはニコ生で個人的にコミュニティ配信をしていました。
「ネット麻雀の実戦を生配信したり、実戦動画のアップロードをしたりして、自分の告知や宣伝にニコ生を活用していたのです」(梶本さん・談)
梶本さんのコミュニティの登録人数は五千人ぐらいいたそうです。おそらく竹書房のニコ生担当者は、そこに目を付けて、チャンネル開設を提案したのでしょう。梶本さんは迷わず快諾。
「どこもやっていないし、新しいことにチャレンジするのが好きなので、お受けしました」(梶本さん・談)
こうして誕生したのが「梶やんチャンネル」。今では課金システムが当たり前のようになったニコ生の麻雀対局番組ですが、その端緒を開いたのが梶本さんのチャンネルだったのです。
――「梶やんチャンネル」を課金システムにするにあたって、何か工夫しなきゃと考えた企画やアイデアなどはありましたか?
梶本:なにしろ初の試みでしたからね。「いかに放送回数を増やすか」「無料放送と有料放送との内容の差別化を図る」「毎日記事アップする」といったことを考えました。生配信を毎日やるのは大変だったので、その穴埋めはブログ記事で補うことにも腐心しました。記事が毎日アップされれば、(チャンネル)会員の満足度は上がると思い、何切る・麻雀雑学記事・戦術講座などを更新しまくりましたねえ。
――その会員さんの会費ですが、料金の設定はどう決めたのでしょう?
梶本:竹書房の担当と相談して決めました。ニコ生では一度料金を設定すると、後で変更ができないので、「高すぎず・安すぎず」で月額525円にしました。
その後、2014年の消費税率アップによって540円に自動的に上がりましたけど。
――最初から入金があるわけでもなく、また会員数も読めない状況だったと思いますので、番組の制作費や経費などはどう捻出されていたのかお聞きしたいのですが。
梶本:ひとまず竹書房が負担し、そのぶん入金額から経費を引く形にしましたね。麻雀プロへのギャラなどが一番かかっていたと思いますが、できるだけ抑えてもらうようにお願いしました。また、アマチュア女性雀士に出演してもらうことで経費を抑えていました。アマチュアの方には、いわゆる出演料がかかりませんので(苦笑)
梶本さんの「梶やんチャンネル」でもっとも画期的なアイデアといえるのが、この「アマチュア女性雀士の起用」といっていいでしょう。出演料がかからない(募集時点でそのことを告知していた)という「お家の事情」から出た苦肉の策とはいえ、彼女たちの登場は麻雀ファンに衝撃を与えました。
後に「梶ガールズ」と命名されるアマチュア女性雀士ユニットは、アイドルグループのような存在となり、チャンネル会員数の増加に大きく貢献したのです。また、この「梶ガールズ」からは何人か麻雀プロになったことでも話題となりました。
――元が取れるというか、黒字になってきたのはチャンネル開設から何ヶ月目だったのでしょうか?
梶本:最初から利益は入っていたので、1ケ月目からになりますね。
ただ、費やした時間・労力も大きかったので時給換算すると相当安かったと思います(苦笑)
――収入の推移を、ざっくりでいいですので、スタートからラストまで、どんな感じだったか教えていただけますか?
梶本:売り上げは月額540円×人数。このうち3割がドワンゴに引かれ、残りから経費を引いたものを竹書房と折半していました。
2012年8月にスタートした直後、200人ぐらいの登録者がいたと思います。なので最初の月が大体3万円ぐらい。そこからじわじわ加入者が増え、 最終的に700人を少し超える人数になったので、月に10万円ぐらいの収入になっていましたね。
【注】ドワンゴさんの手数料は2012年当時のものです。
(つづく)
▲▲▲ ここまで馬場プロの連載より ▲▲▲
▼ 上記は、月刊「麻雀界」2018年4月1日発売号に掲載された内容です。